瀬戸内の小さな島の郵便局「漂流郵便局」

届け先のわからない手紙、預かります

「漂流郵便局」という本の副題です。漂流郵便局は、香川県にある粟島という島にある届け先のわからない手紙を受け付けてくれる郵便局。もとは、瀬戸内国際芸術祭の久保田沙耶さんという女性の作品で、芸術祭終了後も全国から寄せられた届け先不明の手紙が集まる場所となっているそうです。

本の「漂流郵便局」には、そんな郵便局に届いた手紙、69通が掲載されています。

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この本は、実際の手紙の写真と、その手紙を活字にしたページが見開きで構成されています。

有名人でもなければ、知人や友人でもない、見知らぬ人の手紙。ごく私的な思いが込められた手紙ですが、読んでいると不思議です。それぞれの手紙に感情移入してしまい、色々なことを思い感じます。

もうひとつ不思議な感覚を覚えました。実際の手紙の画像は誰かが書いた「手紙」として読み、活字に起こされた同じ文章の手紙は「詩」を読んでいるような感覚で読みました。

手書きの手紙は、印刷物になっても「手紙」として書いた人の思いのようなものを感じ、見知らぬ人なのに書いた人の顔や、手紙の中の登場人物の顔、情景などがリアルに思い浮かびます(実際には想像ですが…)。

また、同じ文章でも活字に変換し印刷されると「詩」に感じる。活字になることでどこか客観的になり、作品に近いものになる。感情移入というよりは、自分のことに置き換えて様々なことを考えたり、浮かぶ情景もフィクション、想像の世界になっているのです。

編集の力なのかもしれませんが、手書きの威力を感じ、本の魅力を感じる一冊でした。

本の帯に「心ゆさぶる69通の手紙」というキャッチコピーが印刷されていますが、私もまんまと心をゆさぶられました(笑)。読んだ後は、宛先の明確な誰かへの手紙と、宛先のない手紙の両方を書きたくなりました。そして、いつか粟島の漂流郵便局を訪れたいなぁ…。

●漂流郵便局のWebサイト
●漂流郵便局のFACEBOOK

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